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東京高等裁判所 昭和53年(行コ)48号 判決 1980年1月23日

東京都新宿区四谷一丁目八番地

控訴人

新光建設株式会社

右代表者代表取締役

伊藤順市

右訴訟代理人弁護士

源光信

奈良道博

東京都新宿区三栄町二四番地

被控訴人

四谷税務署長

右指定代理人

金沢正公

池田春幸

林昭司

村上恭二

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人が昭和五〇年一二月二六日付で控訴人の昭和四八年三月一日から同四九年二月二八日までの事業年度の法人税についてした再更正のうち所得金額六、二七〇万四、〇九九円を超える部分及び重加算税の賦課決定を取り消す。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人指定代理人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の主張及び証拠の関係は、次に付加するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

一、控訴人の主張

本件土地の売買代金が一億八、〇〇〇万円であり、六、三一〇万円は右宅地造成費であるとの控訴人の原審における主張(原判決六枚目表四行目から六行目まで)について、その計算の根拠ないし内訳を次のとおり補充する。すなわち、宅地造成後の有効面積である一、八七〇坪を基準とし、土地代坪当り一〇万円とし、これが一億八、七〇〇万円となり、宅地造成費坪当り三万円とし、これが五、六一〇万円となるところ、土地代の端数七〇〇万円を宅地造成費の方に乗せ、土地代金をいわゆるきまりのよい数字の一億八、〇〇〇万円とし、宅地造成費を六、三一〇万円としたものである。

二、被控訴人の主張

控訴人の主張を否認する。

三、証拠関係

控訴代理人は、当審において甲第一〇ないし第一二号証を提出し、当審における控訴会社代表者尋問の結果を援用し、「乙第一九、二〇号証の成立は知らない。」と述べた。

被控訴代理人は、当審において乙第一九、二〇号証を提出し、当審証人村上恭二の証言を援用し、「甲第一〇号証の原本の存在とその成立は認める。第一一、一二号証中、各公証人作成部分の成立は認めるが、その余の部分の成立は知らない。」と述べた。

理由

当裁判所も、控訴人の本訴請求は理由がなく棄却すべきものと判断するが、その理由は、次に訂正するほか、原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。

原判決一一枚目裏一〇行目から一一行目にかけての「証人三上公平」以下、一二枚目表五行目までを、次のとおり改める。

「原審証人西田為厚の証言に照らせば、控訴人の右主張にそう甲第一一、一二号証(いずれも公証人作成部分について成立に争いがなく、その余の部分については弁論の全趣旨により成立の真正を認める。)の各記載、原審証人三上公平の証言、原審及び当審における控訴会社代表者尋問の結果は到底措信し難く、他に本件土地の売買代金額とその受領に関する前記認定を左右するに足る証拠はない。(なお、当審における控訴会社代表者尋問の結果中には、土地代一坪当り一〇万円、有効坪数一、八七〇坪の総額一億八、七〇〇万円、工事代金五、六一〇万円のところ、土地代金のうち七〇〇万円を工事代金にまわしたので、土地代金は一億八、〇〇〇万円となった旨の控訴人の主張にそう供述部分があるけれども、右によっては、控訴人が本件土地を宅地に造成したうえで売り渡す場合の代金額についての控訴会社としての積算の内訳が認められるにとどまり、太平住宅との間に、売買代金とは別に、六、三一〇万円を宅地造成費に計上することの合意ができたとまでは認められないから、右供述部分は、いまだ前記認定を左右するものではない。また原本の存在とその成立に争いのない甲第一〇号証は、太平住宅が本件土地を控訴人に売り戻すについての昭和四八年七月二七日付禀議書の写であるが、右は太平住宅の内部における本件土地戻しの検討過程上の資料にすぎず、当審における控訴会社代表者尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、これに記載されている売却条件が、太平住宅と控訴会社との間の売戻契約の内容となったものでないことが認められるから、同証の記載も前記認定を左右するには足りない。)

よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大内恒夫 裁判官 新田圭一 裁判官 真栄田哲)

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